2011年3月1日火曜日

大学入試の試験監督というもの(その1)

世間では大学入試についていろいろ騒がしいらしい。非常にタイムリーな問題でもあるので今回の件での詳細は控えるが、その代わり自分がやった入試監督の経験を記しておく。

早稲田大学では学生にもアルバイトで入試監督の補助員の募集がある。今は知らぬ(岐阜駐在でもあり入試業務はない)が、多分同様であろう。何回もの入学試験に金を払ってきてやっと大学生になった者としては、入試業務というのは非常に魅力的な仕事でもある。

90年代頭のその当時は、まず大学事務所へ希望を出して申し込んだら、結果がコンピュータで抽選さて出されてハガキが郵送され結果を知る。当時だと早稲田は政経から人間科学まで9学部あったので最大9回バイトできる可能性があったが、まあ多くて3、4学部というのが普通であった。

朝、指定された時間に控え室に行くと、自分の仕事が割り当てられてゆく。学生だと用紙配布や廊下での誘導係などが振られるのが普通。教授らが受験会場一部屋の責任者で、その指示で答案配ったり会場準備したりするわけである。

時たま変わった役があって、私の頃にはまだ「鐘」担当がいた。試験開始と終了の時に、棒の先にメロン大の鐘がついたものを廊下を駆けながら鳴らすという大役である。ああいうのもやってみたいなぁと思いつつついぞ当たることは無かった。ある年にバイトさんがこの鐘を廊下で落っことしてひと騒動になったというのはまた別の話ではある。

意外にこの入試バイトは大変で、決められた時間までに問題と答案用紙を配り開始するてのは結構なプレッシャーだったりする。定形の作業とは言え、初めて会った先生とバイトさんとで一つの教室を仕切るのは緊張感に満ちている。早稲田の場合は試験時間が一科目60分、長くても90分なので何だかんだといううちに終了となる。逆に廊下での誘導係はまた寒い中じっと座っているだけというのも一種の苦行だが、何もしなくていい気楽さが廊下組の唯一のメリットでもあった。

さて、室内での監督をしていると、妙な動きをしている学生はすぐわかるもの。試験監督は前からだけでなく写真照合の作業もあるので横から見て歩くこともあり、きちんと見ている分には、受験生も手元でそうあれこれ出来るとはちと思えない。私が試験監督補助をしていた頃はまだ携帯電話はそれほど一般的ではなかったが、あの状況だと携帯があったにせよなかなか難しいだろう、きちんと監督された会場である限りは、だが。

試験終了し答案を集めたときに、一番気をつけるのが集め忘れなどないかの確認。ところが100名程度の会場だと、名前の書き忘れやら、受験番号の書き間違いなど結構出てくるので気が抜けない。答案を集めて受験生を室外に出してしまってから気づいてももう遅いので、ここが一番気を遣う部分かも知れない。

答案は控え室に持ち帰り確認を受けて完了。そして全科目が終了すると、アルバイト料の受け取り。当時は現金とっ払いであった。拘束時間にも比例するが安い学部で8000円くらいから、長い時間の学部で1万2000円くらいだった記憶。貧乏学生にはいいお仕事で、その金で帰り道に古本屋に寄って、などというのは今から考えるといい思い出ではある。

ということで大学院を出るまでこのバイトはやっていて随分と助かったのだが、本当に面白い入試監督の経験は助手として勤めた美大でのほうかも知れない。ということでこの続きはまた。

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