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2012年1月11日水曜日

「まちあるき」が2012年のブームになるのか?

今朝、ツイッターに「NHKの『おはよう日本』でまちあるきが扱われてましたよ」とのツイートが知人からあり。
タイムラインを検索してみると、今年の流行として広告代理店の人がまちあるきを挙げたらしい。
大学では「散歩部」が出来、街中を何人かで歩いて回っているということのよう。
かつては「まちあるきをやっています」と言うと非常にマニアックな扱いを受けたり意味不明と片付けられることも多かっただけに、「こういう日が来るとはなぁ」というのが正直な感想なのです。
確かに東京のまちあるきや地域資源について研究を行って来て、実際に建築学会で「東京ウォッチング」などのワークショップを長く企画開催してきた身からすると、胸が熱くなるような状況なのは確か。
その昔、建築学会の学生部会で先輩方と「いつか、まちあるきがシティホテルのイベントでお弁当付きくらいで、都市観光のツールになってゆくのかも知れませんね」と話したりしていたのが、それがほぼ現実となりつつある・・・ちょっと信じがたいほどの変容であり。

細かいことを言えば、現在全国各所で行われているまちあるきの質ということでは千差万別で、正直いかがなものかという内容の事業やまちあるきマップもある。
この地図で本当に街が歩けるのかなぁ・・・というものが、駅や観光案内所に置かれていることもまだ多い。
何より、今回のにわか人気はNHKの「ブラタモリ」でタモリさんが東京の街中を歩かれるのが大きな効果があったこともある。
こういう流行は、いつしか潮が引くように消えてゆくこともあるだろう。
私にしても、前回の80年代の東京論ブームの最後の尻尾を掴みながら、90年代初頭からまちあるきを重ねつつ長いこと密かに潜行してきたということもある。

でも、まずは多くの人がまちに関心を持ってもらい都市を知ってもらい、実際に街中に出て行けるようになる環境が整うというのは有難いこと。
まちあるきは、いろいろな可能性の始まりであり。
まちあるきをするその先に、面白いことが結構あるのですよ。
歩き始める理由が不況だったり若者の変化だったりという理由でも、全然構わないのです。

ちょうど私もこの春からポジションが変わることもあり、まちあるきをさらにパワフルに進めたいと考えており。
これまでの経験を踏まえてそこでやらなければいけないことが多々あると思うと共に、全国のまちを地域の人達とどんどん歩いてゆきたいなと。
全国のまちで、小笠原を歩かせたいというところがあれば、ぜひお声がけをいただきたく思っています。
単なるお散歩に留まらない面白さが見えてくるはずですよ。

では、路上でお会いしましょう。

2011年8月4日木曜日

8月23日(火) 、街歩きパネルディスカッションを早稲田大学大隈講堂大講堂にて開催

8月23日(火) 、早稲田大学大隈講堂大講堂にて以下のパネルディスカッションを開催します。
画家で日本芸術院会員の藪野健先生(早稲田大学)、雑誌「新建築」の元編集長の中谷正人先生(千葉大学)、新進気鋭の建築家で建築・都市問題についてアクティブに発信する藤村龍至先生(東洋大学)にご登壇をいただき、不肖私、小笠原伸(早稲田大学)が企画、司会を行います。

なおこのパネルディスカッションは日本建築学会大会のものですが、どなたでも申し込み不要で当日に一般参加可能です。街歩きや都市空間、ワークショップなどにご関心ある多くの方の参加をお待ちしています。

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パネルディスカッション
街を歩くことから始まる、
建築・都市の読み解きと未来への構想

日時:2011年8月23日(火)9:15~11:45

近年テレビや新聞雑誌などでの街歩き人気が高まるなか、元来都市を徘徊し町並みを見つめ人々の生活を注視してきた建築分野の人々が街を歩く状況はどうなっているのだろうか。日本建築学会では「東京ウォッチング」を初めとした多くの街歩きに関するワークショップを長年企画運営してきたが、ここで一度その確認を行う必要を感じている。

このパネルディスカッションでは都市というフィールドに出てそれぞれの分野で活躍する街歩きの達人が異なる立場からの街歩きへのメッセージを会場の皆さんへ発信し、街歩きの可能性とその未来について意見を交わしてゆく。

建築家、画家、編集者、都市論の研究者という複数の円環が都市の現場で複雑に重なり合うことで、街歩きの魅力やその隠れた意味について刺激し参加の皆さんの中での新たな都市観を創出するとともに、街歩きや建築・都市の読み解きの重要性について知らせその生産的行為の価値についても広めてゆきたいと考えている。特に建築を学ぶ学生へ向けては、作る行為以前の見つめ思考する場としてのフィールドワークの意味について考えてもらう場としたい。

そして単に建築学分野にこの成果を回収するだけでなく、この流れを社会へ開く形での「街歩き学徒」や「街歩きを楽しむ人々」の集結の機会にしたいと願っており、日本建築学会大会への参加者のみならず、都市を歩き見つめることに関心ある多くの一般市民の皆さんの来場を歓迎する。

司会 小笠原伸(早稲田大学)
記録 田中元子(mosaki)

1.主旨説明 小笠原伸(早稲田大学)

2.主題解説
(1)画家の観点からみる都市・建築の姿 藪野 健(早稲田大学)
(2)建築を学ぶ学生への建築の見方を考える 中谷正人(千葉大学) 
(3)建築家の観点からみる街歩き 藤村龍至(東洋大学)
3.討論
4.まとめ

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その他の学会大会での研究集会やパネルディスカッションは以下に掲載されています。

2011年1月13日木曜日

WBSの街歩き特集を見て

12日のワールドビジネスサテライトで街歩きが特集に。
街歩きの研究や開発をしている一人として、WBSがどう扱うものか楽しみにしていた。

番組ではまず阪急交通社が販売している東京の下町のまち歩きツアーについて紹介。
阪急交通社「時遊人」
現地集合現地解散で、最少催行人数が5名からとなりバスツアーよりも低コストで薄利多売を狙うと。
映像で出ていたのは浅草や合羽橋商店街といった、ある意味定番の下町ツアー。
次に、八戸観光コンベンション協会がまちなか観光の一環で街歩きを導入した事例。
文学者の資料館や街並みをめぐるルートだが開始直後で試行錯誤の感。

番組全体としては街歩きを新しい観光のひとつとして紹介していた。
街歩きを研究の一環で見ているものとしては、産業に関わるという意味でももっといろんな可能性があるだけにちと残念だったなというところ。
勿論久々の街ものブームでもありその点では有り難い限りでもあるのだが・・・。

番組では街歩き本なども紹介していたが、幾つかの指摘が新鮮だった。
我々が常識と思っていることもまだまだ一般の人々には新しいものとして受け止められているのだなと再認識した次第。
学習型の観光がもてはやされるのも分かる気がする。

番組の中では、八戸での試行錯誤の様子が印象的。
情報紹介から、ツアーを売る方向への変化として扱われており、協会が実際に旅行代理店の資格をとったという。
案内に右往左往する職員さんの様子を見ていると他人とは思えない様子もあり。
拝見していて、もうちょっと助言してあげるともっとうまくいくのになぁとも多々感じる。
街歩きのルート設定というのは参加者の方が思うよりもかなり難易度は高い。
あの辺りは我々でお手伝いができるのかな・・・とも思うところ。
八戸に限らず、地方都市というのは街歩きは結構合っている。
学会や我々の授業でのワークショップのスキルを、必要なところにはうまく使ってもらえるようになるといいのだが。

今年は建築学会の方でも「東京ウォッチング」関係の活動を拡充してゆく予定。
まだ固まってないので詳細は記さぬが、これまでの活動をまとめて紹介する場を持ちたく思っている。
そして、お声掛けいただければ地方にもどんどん出向いて街を歩く魅力と価値の話はしてゆきたい。
街は歩いても歩いても、決して使い減るわけではない。