2011年1月8日土曜日

発展途上の中部圏のロボット産業振興

7日に、愛知県主催の「あいち次世代ロボットフェスタ2011」@ウインクあいちへ行ってきた。
名古屋駅からすぐ、トヨタ自動車と毎日新聞が共同開発したミッドランドスクエアの裏に展示会や会議などが開催可能な県の大きな施設が出来ている。
会場に入ると・・・いきなり人が少なく拍子抜け。
昨年はもう少し人出が多かったと思ったのだが、やはり「ロボットバブル」は弾けつつあるのだろうか。

ともあれ展示をと思い見て回るが、やはり技術展示が中心。
出展者は真摯に対応しているものばかりだが、残念ながら新しい機軸は感じられない。
昨年のアンケートでかなり辛口の意見を書いておいたが、中の人には別の機会に私が書いたとすっかりバレていたのはまぁともかくとして。
やはり「出口」をきちんと意識しているかどうかの差は随分大きいと言わざるをえない。
今回の展示でも、販路や具体的な顧客の姿が掴めている展示は魅力的である。

逆に言えば、愛知県はこれら技術を誰にどう売ろうとしているのががよく見えなかった。
いや、実は我々とて人のことを言える義理ではない。
愛知に限らず地方自治体のロボット産業振興の企画は総倒れ状態が続いている。
私は現在経済産業省の中の人らと共にその処方箋を書いているわけだが、きちんとお薬を飲んで治す気力のある自治体が少ないというのが正しいところ。
あちこちの自治体の方ともお話をしてきたが、処方箋の中身が理解できる自治体、そして役所の担当者、さらには企業トップが揃ってもらわないと容易に治る病も難治性のものになってしまう。
愛知の県担当者は非常に頑張ってこの催しに準備してきたことはよく理解している。
それだけに胸が痛むところがあるのだ。

講演でよく言っている「産官学それぞれのエゴ」は依然として存在している。
ものづくりの地域として売りだしてきた地方だが、中部圏でのロボット産業振興はまだまだ発展途上。
地元製造業企業の話を聞いても、あまり悠長に研究を進めていられる空気でないこともよく分かる。
自動車産業を背景にして保ってきた地域としての優位性は、それほど維持されているわけでもない。
合意形成やプロジェクト遂行に時間とコストが掛かりすぎてきたこれまでの状況をどう変えて、スピーディーに進められるかが中部の次の課題だろう。
啓発のための事業もまだまだ必要であるし、そして地域に次の種を播いてゆく地道な作業は別途行わねばいけないのだが。

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