2011年1月24日月曜日

ノートをいただくということ

文房具マニアである。
高校生の頃から自分で購入するまででなくとも、新しく発売になった商品は一通り手に取ってみる。
札幌時代は大丸藤井セントラル、東京では伊東屋へ、用がなくとも近くを通れば寄ったもので。
紙の魅力というのはあって、見本帖やら変わった紙やらがあるといじくり回してみた。
ペンも好きで、水性ペンを多用していたこともあって色々試しながら現在に至っている。
ただ勿論学生のお遊びで、せいぜい数百円のものを購入する程度。
授業のノートに使うのであればそんなものであり。

ところが画家である我が師匠と行動するようになり、事情が変わる。
師匠もまた文具の人であり仕事柄画材の人である。
それまでは時々行く程度だった、まだ健在だった古い日本橋丸善に頻繁に出入りするようになる。
大人の趣味の一つに万年筆があるのだなと知るのもその頃のこと。
数万数十万の筆記具を購入するわけにはいかぬが、手元にあるパイロットの万年筆を放置していたものを使い始めることとした。
水性ボールペンとの違いは比べるべくもなく。
何より量を書いても疲れないのだと知る。

そして、万年筆を使い始めたと知った師匠がノートをわけてくれるようになる。
丸善の「ダックノート」である。
方眼入りや無地など、サイズも多数だが、外装が帆布でカバーと一体化している。
木口が茶色で塗られており、 一目見てああ丸善のあれだなと分かる強さのあるノート。
そりゃあいただいて嬉しいに決まっている。
外に出てメモする機会の多い研究ゆえ、方々で重宝してきた。

ただこれの値段が少々どころかかなり高い。
一冊2000円以上のノートを使う人がいるのかと驚くとともに、師匠に感謝したものであり。
万年筆のインクの乗りのいい、重量感と手への馴染みのよさはお値段通り。
就職後には、自分へのご褒美というときにはこのノートを時々購入してきた。

逆に考えると、この程度のご褒美で幸せな気分になれる自分てのが安上がりでもあるのだろう。
ファッションにあまり関心がなかったゆえに、高級なブランド物やらには縁遠い。
伊東屋の店頭ひやかすのが楽しみだった者としては、このノートが嬉しい。
自分もいつかはあの高級万年筆に手を出すことがあるのかとも思うが、残念ながら相変わらず零細研究者の域を出ることはない。
そして今でも時々、師匠からノートをいただく。
これは、さらに良く勉強せいよというかなり強力なメッセージでもあることは百も承知なのだが、そのことはあまり過度には考えずに有難くノートを受けとるのみである。

キャリアアップとともに文房具もいいものにしてゆくとともに、実用的にも効果がある。
これを自分への投資というのだろう、と勝手に思い込ませている。
今の自分の位置は頑張って2000円のノートということ。
そしてたまに無印良品の一冊200円のノートに浮気しているが。
自分の立ち位置からちょっと無理していいものを買う気分をこのダックノートで経験している。
ちなみに丸善のダックノート、不具合があったとのことで現在は暫く欠品となっている。
正月明けにも名古屋栄の丸善へ行ったが申し訳なさそうに店員が話していた。

ツイッターでやりとりしていて、こんなことを思い出したので記した次第。

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